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ウイグル族のシンボル的な色


新疆大学文学部教授,専門家 Abdukerim Rahman先生,助教 授 Reweydulla Hemdulla先生,Sherip Hushtar先生などが書いた「ウイグル族の風俗習慣」(ウイグル文,新疆青少年出版社,1996年8月出版)を参考にして,ウイグル族の風俗習慣を紹介します。

 ウイグル族のシンボル的な色について

 ウイグル族は各種の色から美学的なエンジョイを受けると同時に,色を自分の生活習 慣の中のさまざまな活動と概念に密接に結びつけて,生活にある善(良い こと)と悪(悪いこと)のシンボル的な意味として用いてきた。各種の色の中 で特に白,青,赤,黄はウイグル人の心理的な活動及び宗教信仰に密接に結びつき,彼らの生活,習俗に比較的に突出した役割を果たしてきた。それは昔から続いて きたもので,ウイグル人の習慣で重要な特徴として形成されてきたものです。

 白い色(Ak reng): 白い色はウイグル人の伝統的な意識では幸福,幸運, 善,純潔,高尚の意味を表してきた。この概念はウイグル人の原始宗教時代から今ま で続いています。白いはウイグル語で「Ak,Aq,アック」と言う。例えば,誰か が旅に行く前に見送る人は「Ak yol bolsun!」(日本語にそのまま訳 せば「白い道を祈ります」)と言って見送ります。ミルクを大切にする,雪を幸福・幸運の印 と分かる,お嫁さんは結婚式の日に白いワンピースを着る,親戚の亡くなった男は白 い帯を締め,女は白いスカーフを被る(40日間まで),家を白く染めるなど。
 ウイグル人の有名な歴史詩集「Oguzname,オグズ書」でもオグズハンの軍 事遠征で勝ち取った勝利のお祝い式で,40gulach(長さの単位,両手を伸ば した時の長さで,普通身長と同じ位の長さです)の白い 柱の下に白い羊を縛って,幸せがいつまでも続くことを祈っていた。又,仏教時 代にも同じように白い色を幸福と幸運のシンボルとして信仰していた。例えば,「Ikk i Tekinning Hikayisi,二人のテキン(王子)の物語」でも善意のテキンの事跡を白いという形容詞で表していた。今でも素晴らしい人は「Ak niyet」,反対語は「Kara niyet」と言います。

 青い色(Kok reng): 青い色もウイグル人の原始宗教信仰と結びついて,善と幸 運の印,神的色のシンボルとされた。Kok(青い)の意味は神様,天,空, 青い色,元(祖先),kokle(生きていけ,願いのように生きていけ),野菜, 草など。纏めたら,@神様,TengriA青い色です。
 古代ウイグル人は宗教信仰で青い色を偉大な色として崇めて,神様の形容,名前に することは一定の社会的基礎に拠ったものです。中央アジアで生活した民(ウイグル人 など)は長い間主に遊牧生産をしていた。牧畜業生活は主に青い色(緑色)を中心とし た草原を舞台とした。草原文化では緑色は生命の基礎と考えられて,それに対する (大切にする)意識は強まっていた。古代の「Tura(鉄勒)詩」に緑色に結びついた 草原生活が形象的に述べられていた。それ以外に上述の「オグズ書」にも青い色関係 の記述が結構見つかる。「オグズ書」にはオグズハンの顔色は青い,オグズハンがお 祈りしている時に回りは暗くなってきて天から一筋の青い光が落ちる,その光の 中から目の青い綺麗なお嬢さんが出てくる。又毛の青い雄のオオカミがオグズハンを 案内してくれる....などは古代ウイグル人が青い色を神様にして信仰したことの 根拠である。 薩満(Shaman)教を信仰していた時代に,大自然神を中心とした天,太陽,月, 星,風,雨,稲光などの現象の発生に「Kok」という語が神様に比喩されて使われた。
 ウイグル人がイスラム教を受容してから,「Kok Tengri,神様」概念から宇 宙を作ったAlla概念が出てきて,Kok Tengriの役割をするようになり ましたが,ウイグル人の意識にあるKok(青い,緑)のシンボル的な意味は変わら ず,習慣として残ってきた。例えば,悲しいことに遇ったらKok(天)に向かって お願いする,緑(植物)を大切にする,(馬のえさになる草)kok (草の名)で餃子を作って隣,親戚,友達に上げる,kokパーティ(民族舞踊もや るパーティ)など。

  赤い色(Kizil reng): ウイグル人は赤い色を善,嬉しい,幸福, 美しい,勇敢,勝利のシンボルと考える。
 例えば,ウイグル人が結婚する前にお嫁さんの家へ「Ash suyi,結婚式に 使う食べ物,家畜,小麦粉,お米,野菜,塩,マキなど」を持って行って上げる時に 羊の頭に赤い絹を縛って行く。お嫁さんを迎えに行く馬車(現代では車,マイ クロバス)の前に赤い絹を縛って行く。結婚式の楽器(チャルメラ,ラワップ,太鼓) にも赤い絹を付けておく。ウイグル人の男の子が7歳の時に割礼を行います。その 時,割礼の息子に赤い帯を締めておきます。赤ちゃんが生まれた家のドアに赤い布を かけておきます。お嬢さんを赤い花で比喩する。未婚のお嬢さんと若い奥さんは赤い ワンピースを着る。こういう意味では赤い色は若さの印と考えられる。
 天山の北と東(ハミ,特にトルファン)のウイグル人は赤い帽子を被るのが好きで す。トルファン人は赤い色の火炎山を尊敬して「Kut tag,幸せを与える山」 と言います。

 黄色(Serik reng): 黄色はウイグル人の美学的な意識では太陽,豊 収,高尚さのシンボルです。ウイグル人は黄色を金色と言う。芸術的表現では太陽の光が いっぱいの時を「金のように光る太陽」と言う。よく実った小麦を「Altun ba shaklik bugdaylar」(Altunは金,bashakは穂,bu gdayは小麦,larは複数)と言う。礼儀正しい良い子を「Altundek Bala」(金のような子),女の子を「Altundek Kiz」(Kizは娘)と言う。
 アクセサリーなどウイグル人の貴重な芸術品の色も金色を基礎とする。建物などの 飾り(彫刻)にも金色が多いです。黄色が好きであることはウイグル人が昔太陽神を 信仰したことを源にするが,口頭文学の叙述手段に黄色は気分が低い,精 神低下,独りぼっちの寂しさに比喩されることもある。

(1999.11.29受、12.4掲)