中国モバイル通信事情
昨年(1999年)10月に北京、ウルムチ、カシュガルそしてヤルカンドに行ってきました。その時の経験から、中国のモバイル通信について紹介します。
旅の準備
私は仕事がらモバイルがどうだ、ローミングがこうだと議論することはあるが、個人としてはあまり関心がなく、携帯電話も持っていない。これまで必要性を感じなかったからだ。しかし少しは実体験をした方が良いかなと思う、また旅先からEメールでやり取りするのも面白いかもしれない。そこで出発1ヶ月前になって準備を始める。
持っていく端末はあれこれ見比べた結果、NECのMobileGearU MC/R320(以下MGと略す)にし、会社でつき合いのあるO社に急いで取り寄せて貰う。価格53,600円。モデム内蔵だが、旅先で電話線に簡単に接続できるかが心配。そこで普通のモジュラーコード2本の他に、一端がモジュラーで他端がワニグチクリップのコードを用意する。これは自作。それにモジュラーコード同士をつなぐモジュラーカプラー。+/-ドライバは別のサバイバルパックの中に入っている。
マニュアルを読むと「ホテルなどで使われているデジタルPBXには接続しないこと。接続する場合はフロントで良く確かめること」などと難しいことが書いている。中国語を話せない者がモデムのことなど知らないはずのホテルのフロントでどうやって確かめれば良いのだ!?このことを職場のS君に話したら、回線チェッカModemSaverを貸してくれる。これをモジュラジャックに差し込めば普通のアナログ回線かどうか、極性の正逆などをLEDで表示してくれる。
利用するサービスはBIGLOBEのローミングサービス。既にBIGLOBEに加入しているので、特別の手続きはいらない。国内で使う時と違うのは、アクセスポイントの電話番号の他に、ユーザIDとSMTPサーバの指定、それに発信方法の設定は使う場所の状況に合わせる。例えば0発信だとか...
持っていったは良いが現地で使えなかったではつまらないので、自宅から中国のアクセスポイントにつなぎ、Eメールの送受信を試み、何とか成功。話中であったり、応答しなかったりで結構つながらないことが多い。またつながったが、先に進まなくなることもある。
中国のアクセスポイントは10ヶ所ばかりあるが、北京をはじめ東側にしかない。カシュガルから北京のアクセスポイントにかけたら、市外電話料がどれだけ掛かるのだろうか?
モバイル通信事情のまとめ
(1)BIGLOBEローミングのアクセスポイント(以下APと略す)
・中国東部には、北京他10個所ぐらいにAPがあるが、西部には全然ない。
・今回使ったのは主に北京、たまに重慶。
(2)ホテルでの電話線接続方法
・北京: 電話機のモジュラコードをMBに差し替えるだけでOK
・ウルムチ、カシュガル、ヤルカンド: いずれもモジュラではないので、ワニグチがあれば便利。ローゼットのカバーは手で外せる。
(3)ホテルからの接続方法
・北京: APは市内にあり、0発信で可。通話料を取られなかった。
・カシュガル: APが北京(市外)なので保証金(200元)を預け、市外通話可能にしてもらう。時間は掛からない。
ダイアルは0発信なしで市外局番からそのまま入れる。通話料は((通話時間、分)*1.32+1)元、私のメール送信で一番かかったのは1回4分、6.28元。合計で88.12元。大半は通信不可時の使用料、通信不可の詳細は下記。保証金は当然精算の上残金を返してくれる。
・ヤルカンド: カシュガルと似た方法、保証金は100元で済んだ。ダイアルの方法はこちらの方が高級で、「88-PassWord(4桁)-0-市外局番-電話番号」を入れる。使用料の明細は貰わなかったが、合計で14.50元。
(4)通信状態
・一言で言うと、なかなかつながらない。早朝の方がつながりやすい感じ。
・回線ビジー ビジーには何段階かある。外線に出る時、市外に出る時、APにつなぐ時。
・AP接続後の通信拒否 シャクなのがこれ。「PortClosed」みたいなメッセージを出して、切れてしまう。一旦はつながったので、電話料がかかる。(カシュガルの場合、2.32元、「チリも積れば山
となる」で馬鹿にならない。)これはAP側の問題か、BIGLOBE側の問題か?
・通信途中のエラー これはある程度やむを得ないだろう。
(5)MGの使い勝手
・使用機種 MC/R320、本体のみでオプション追加なし。
・大きさ 携帯にはちょうど良い、これ以上小さくてはフルキーボードは無理。
・電源 今回はACアダプタを使わず、アルカリ単3(2本組)だけ使用。メールだけならアルカリ単3で十分実用になる。もちろん交換用の電池は持っていくこと。
・キーボード 小さくて使い難いが、やはりフルキーボードは良い。ペンタッチ入力などでは、長いメールを何度も書く気にはならなかったはず。
・ディスプレイ 反射型LCD。中国のホテルの部屋は暗いのでやや不便。バックライトの方が良いに決まっているが、価格そして電池消耗のことを考えれば、やむを得ないか。ペンタッチは快適。手書き文
字での漢字検索も便利。
・InternetExplorer もともと使うつもりが無かったので準備不足。うまく使えなかった。但し使えたとしても、電話料、電池消耗が心配。(メールの場合は送受信するときのみ電話がつながれる)
(6)携帯電話とポケベル
・携帯電話 カシュガルなどでもけかなり普及している。(ヤルカンドへ行く途中の車の中で、便乗した娘さんがガンガン掛けていた)
・ポケベル 日本では落ち目だが、こちらでは大活躍、それもビジネスに必須。私は日本のポケベル事情に疎いが、こちらではかなりの文字(漢字)を送れるみたい。それもオペレータが仲介するので、呼ぶ方はオペレータにメッセージを伝えるだけで良い。
カシュガルの警察に行ったときも、担当者が不在で、ドアに「ポケベルで呼んでくれ」と貼り紙がしてあった。
(7)公衆電話
・ICカード用が結構目に付く。モデムの使える公衆電話は見かけなかった。
(2000.1.10 掲)
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